プーケット白熱授業

プーケット補習校の授業風景をレポートしていきます。
第19回
ホテルの食材偽装
ホテルの信用るがす問題が発覚しました。阪急阪神はんきゅうはんしんホテルズ」(大阪市)という会社が運営するホテルで、メニューと違う食材が使われていた料理が47品目もあったのです。うその表示は7年にわたっていていて、社長が責任をとってめる事態になりました。

 うその表示があったのは、「大阪新阪急ホテル」(大阪市)や「吉祥寺第一ホテル」(東京都武蔵野市)など、八つのホテルのレストランや宴会場計23か所です。

えば、メニューでは「芝海老」と書いてあるのに、実際は値段の安いバナメイエビを使ったり、「九条(くじょう)ねぎ」とあるのに、普通の白ネギなどを用いたりしていました。うその表示があった47品目は2006年3月以降、計約7万9000人の客に出されました。

 調理の担当者たちは、会社の調査に、「小さなエビは『芝海老』と書いていいと思っていた」「添え物の野菜を変えても、伝えなくてもいいと考えた」などと話したそうです。

 「偽装」といって、客をごまかすためにうその表示をすると、景品表示法という法律に違反する恐れがあります。阪急阪神ホテルズは国の消費者庁に報告し、記者会見では「お客様に偽装と言われても仕方ない」と謝罪しました。

 問題は広がりを見せています。阪急阪神ホテルズの親会社と関係が深い高級ホテル「ザ・リッツ・カールトン大阪」(大阪市)、それに「近鉄ホテルシステムズ」(大阪市)やJR四国(高松市)のグループ会社など、ほかの会社が運営する各地のホテルでも、メニューに問題のある表示が次々と見つかっています。

過去には、大阪市の高級料亭で牛肉の産地の偽装や食べ残しの料理の使い回しが発覚し、廃業に追い込まれた例もありました。

 一度った信用を取り戻すのは簡単ではありません。ホテル対応消費者の厳しい視線が注がれています。

問題1 阪急阪神ホテルの社長が辞めることになったのは、どうしてですか。

 

 

問題2 芝海老の代わりにバナメイエビを使ったのはなぜですか。

 

 

問題3 偽装は法的には何がいけないのですか。

 

 

問題4 近鉄ホテルシステムズやJR四国のグループ会社でも、同様の問題が見つかったとありますが、それはどういうとことでしょうか。


・文中の漢字にふり仮名を入れなさい。


・発覚 偽装 違反 謝罪 運営

上記の単語本来の意味を使って例文を作りなさい。


第18回
消費税率アップへ
日時 12月28日
クラス 総合

消費税税率が来年4月に、今の5%から8%に引き上げられることが決まりました。

政府は消費税による収入を増やし、国の財政を立て直したい考えですが、回復しつつある景気がまた悪くならないように様々な経済対策も検討しています。

 消費税は品物を買う時、値段に応じて国に納める税金です。100円の品物を買った場合、税率が5%なら5円、8%なら8円です。8%の場合、お店には消費税を上乗せした108円を支払い、その後、お店が国に8円をめます。

 税率を上げる背景には、国の借金総額が6月で1000円を突破したことがあります。

高齢化が進んで、お年寄りに支給される年金や、病気やけがによる医療費など「社会保障費」がかさみ、20年ほど前の2・5倍にあたる年間29兆円までえました。一方で、景気がずっとくなかったので、税金収入は20年ほど前の4分の3にあたる年間43兆円にっています。

 政府は消費税率のアップによって税金収入を増やし、増加する一方の社会保障費にあてようと考えたのです。

 ただ、同時に品物の値段も上がるため、「買い物を控える人が多くなって、景気が悪くなるのではないか」と心配する人もいます。

 しかし、安倍首相は、日本銀行の調査などから、税率を上げても景気の回復傾向は続くから大丈夫と判断したようです。

 政府は消費税率を引き上げた後、家や車を買う人を対象にに、消費税とはの税金の一部を安くして買い控えなどをぐ方針です。

 また、2020年の東京五輪・パラリンピックの準備や、東日本大震災で被災した地域の復興事業などに5兆円をあて、景気をよくする計画も12月にまとめる予定です。企業が支払う「法人税」の税率を引き下げることも検討しています。

 2015年10月には、消費税率はさらに10%に引き上げられる予定です。財政の立て直しと、景気の回復を両立できるように上手な舵取りをみたいですね。

キーワード
消費税 税率 財政  景気 高齢化 年金  社会保障費 法人税

 

問題1 
日本国は6月に国の借金が1000兆円を超えましたが、借金が増えた主な原因は何だと考えられますか。2つ書きなさい。

 

 

問題2
政府が消費税を値上げする目的は何ですか。



問題3
消費税を上げれば心配なこともでてきます。それは何ですか。

 

 

問題4
しかし安倍首相は大丈夫と判断しているようですが、その理由は何ですか。

 

 

問題5
日本は財政再建できるでしょうか。自分の考えを述べなさい。また、その理由は。


第17回

集団的自衛権って何だろう?

日時 8月3日

クラス 総合

教材 朝日小学生新聞「仲間の国を守るため武力を使う権利」

― 今日の記事は難しいと思う。これが読み解ければ大したものだ。大人でも分からない人は多いと思う。みんな、頑張ってください。

各自黙読。

― 中心語句は?

「憲法9条」「解釈」「首相」「個別的自衛権」「集団的自衛権」「アメリカ」「国際法」「解釈拡大」「武力」といろいろ出るが・・・

― 中心語句は、「何について書かれている?」と聞かれて、一言で説明できる言葉だ。ここでは、「集団的自衛権」だと思う。

― 要旨は?

「集団的自衛権は認められるか?」
「集団的自衛権は憲法9条で認められない」

― 自衛権って何だろう?

「自分(自分の国)を守る権利のことです」

― そうだね。では、自衛権には、どんなものがある?

「(文中から)自分の国を守る個別的自衛権と仲間の国を守る集団的自衛権です」

― 日本の場合、両方認められているかな?

「いえ、個別的自衛権は認められていますが、集団的自衛権は認められていません」

― それは、なぜだろう?

(なかなか答えが出ない)

― 恐らく、世界のほとんどの国では、両方認められていると思うけど、日本では、個別的自衛権だけだ。どうしてなんだろう?

(ずっと、沈黙していたDくんが)「(文中から)国際法上の権利として、個別的自衛権は認められますが、憲法9条の制約があるから集団的自衛権は認められません」

― そう、そのとおり! (文全体が)ぜんぜん分かっていないんじゃないかと思って心配していたけど、ちゃんと分かってるじゃないか(一同笑い)。では、日本の政府は、どうしようとしているのだろう?

「(文中から)両方使えるようにしようとしています」

― でも、憲法でできないことになっているんだよねえ。

「だから、憲法を変えようとしています」

― そうかな?確かにそういう考えの人もいるけど、文中には、そう書いてないよ。

「解釈・・・?」

― そう。解釈を変えようとしている。ところで、「憲法の解釈を変える」と「憲法を改正する」は、どう違うんだろう?

「うーん・・・・」
(なかなか、答えが出ない)

― 「憲法を改正する」というのは憲法を変えることだ。じゃあ、「解釈を変える」というのは? 

(答えが出ない)

― よし。辞書で「解釈」を引いてみよう。

「『ことばや文章の意味を考えて明らかにすること』です」

― ということは、「憲法の解釈を変える」というのは、どういう意味なんだろう?

「ほんとは、そうじゃないんだけど、別の意味を考える・・・・とか?」

― うん。なかなか、いいね。「昨日の天気はどうだった?」と聞かれ、実際は、ざーざーと雨が降っていたのに、「晴れては、いませんでした」と答えることもできる。憲法の解釈を変える、というのは、ちょっと、これと似ているかな。

「なら、憲法を変えればいいじゃないですか」

― 確かに、そうだ。本当に集団的自衛権が必要だと思うなら、堂々と改正すればいいんだけど、政府のやろうとしていることは・・・?

「解釈を変える」

― そう。でも、それは、なぜ?

(なかなか、答えが出ない)

「面倒だから・・・?」

― まあ、簡単に言ってしまうと、そういうことかな。憲法を変えるには、衆議院と参議院で3分の2以上の賛成が必要で、その上で、さらに国民投票で過半数を取らなければならない。ここれは、なかなか大変な数字だね。

― ところで、政府は、なぜ集団的自衛権を認めさせたいのだろう?

「(文中から)アメリカとの同盟関係を強めたいからです」

― どうして?

「(文中から)中国との尖閣諸島の問題とか、北朝鮮の核問題があるからです」

(ここで、インター校に通う生徒から)「北朝鮮って、どこですか?」

― ノース・コリアのことだね。最後に、この記事を書いた人は、どんな考えを持っているかな?

「憲法の解釈を変えることは、慎重に考えた方がいいと言っています」

― では、キミたちが新聞社の代表なら、どんな紙面を作る?

「私は、やっぱり、(先日の課題のときと同じように)自分の意見を、もっと、はっきり出します」
「僕は、やはり、(先日の課題のときと同じように)新聞は中立であるべきだと思います。間違った意見を出してしまったら、大変なことになるからです」
「でも、それだと、どの新聞も同じになって、売れないと思います。売ろうと思ったら、自分の意見を出すべきです。後は、読者が判断します」

― 確かに、アメリカの新聞なんかは、大統領選挙のときにも、どちらを支持するか、はっきり書いている。同じことしか書かないのは、中国や北朝鮮など自由のない国に多い。それに、間違った意見だったかどうかは、何十年か経たないと分からない場合があるしね。ところで、Dくんは?

「僕は、新聞なんか出しません(一同爆笑)」

― 面倒なことはしない。日本国政府みたいだね。まあ、確かに、それも一つの考えだ。では、今日の授業はここまで。


第16回
国際結婚で生まれた子 守る
11月23日 
「ハーグ条約」を知っていますか? 国際結婚で生まれた子どもを一方の親が勝手に国外に連れ去った場合にどうするか、国々が話し合って決めたルールです。

 日本でも5月の国会で承認され、来年春までには参加することになりそうです。連れ去りをめぐるトラブルは増えていて、アメリカやヨーロッパから早くわるようにされていました。

 ハーグ条約ができたのは1980年です。オランダのハーグという都市で開かれた国際会議で話し合われたことからそう呼ばれ、89か国が参加しています。

 連れ去られた子どもが16たない場合、もう一方の親がめれば、原則としていったん元の国にし、どちらが育てるかを話し合いや裁判の場で決めるというのが主な内容です。

 子どもを守るのが目的ですから、連れ去りから1年以上過ぎて子どもが生活になじんでいる場合や、「虐待」といって子どもが暴力を受けかねない場合はかれます。

 2011年の国の調査では、日本人の国際結婚は1年間に約2万6000組、離婚も約1万7800組に上っていて、日本人の親が子どもを勝手に日本に連れったケースは、アメリカだけでこれまでに80件以上といわれます。これが、外国からは決まりにいた不法な行いとみなされ、批判を受けてきました。

 ただ、家庭で外国人のから暴力をるわれ、れるために子どもと一緒に帰国した人などには配慮必要だという意見が日本では強くあります。

 6月12日には、条約の国内での手続きを定めた法律が成立しましたが、その中では、元の国に戻った場合、相手から暴力を受けかねない場合などをげ、裁判所判断によっては子どもを戻すのをめることになりました。

国境えた話し合いや裁判は大きな負担になります。国には、親子をえる仕組みを整えていくことがめられています。

問題1 日本はハーグ条約に加盟していますか。

 

問題2 アメリカやヨーロッパの国はハーグ条約に加盟していますか。

 

問題3 ハーグ条約の名前の由来は。

 

問題4 ハーグ条約の主な内容は。

 

問題5 条約には例外があります。それは何ですか。

 

問題6 日本では国際結婚が年々増えています。国の調査を見る限り、国際結婚は、うまくいっているのでしょうか。

 

問題7 一方の親が子を勝手に連れ去り帰国することは、国際的には、どのように見られていますか。

 

問題8 上記の場合、日本では、どう見られていますか。

 

問題9 あなたは条約への加盟に賛成ですか、反対ですか。

 

勝手 承認 参加 判断 負担

・上の5つの漢字を5回ずつ書きなさい。

 

・これらの言葉本来の意味を使って作文を作りなさい。

 

問題文の漢字にすべてふり仮名を入れなさい。

第15回

国産腕時計、時を刻んで100年

朝日小学生新聞2013年5月20日号

語彙解説
国産

問題1 腕時計が国産される前は、どうしていましたか?

 

問題2 初の国産腕時計は、どのように作られましたか?

 

問題3 腕時計の当時の呼び名は?

 

問題4 腕時計の製造で一番苦労したことは?具体的に書いてください。

 

問題5 時計を大別すれば2つにわかれます。それは何と何ですか?

 

問題6 その2つの構造を説明しなさい

 

問題7 その2つの長所と短所は? 

 ・次の単語を使って作文を作りなさい。

国産 輸入 製造 部品 技術

 ・記事を使って音読練習

第14回
陰山方式とは・・・
基礎1クラス担任の長井先生が漢字学習の授業に取り入れているのが陰山方式です。

「百ます計算」を世に広めた兵庫県出身の陰山英男先生考案の教育メソッドで、「基礎的な生活習慣を身につけさせること」と「反復練習」を重要視します。

1年生の漢字を使った例文集を使い、まず短文を音読して、今からどんな漢字を学習するのか目と耳を使って記憶させます。

すらすら読めるようになるまで続けますが、途中で詰まるということは、意味がわかっていないということになります。

音読ができるようになったら、同じ短文を使って書きの練習。習得できるまで最低7回は繰り返し、このとき書き順も指導。

漢字が一通り書けるようになったら、総熟語に取り組みます。

バンコク日本人学校でも取り入れている先生がいるそうで、その先生は1学期の最初に今年習う全漢字をまず紹介し覚えさせ、そこから繰り返し復習させて3学期までに完璧にするそうです。


第13回

「北極の氷がとけている」

6月15日 総合クラス

教材「朝日小学生新聞」2012年9月21日号「北極の氷がとけている」

今週は文教大学の学生さんがサポートに入ってくれました。

まず黙読し、質問に入る。

質問1 この記事にタイトルをつければ。

Aさん「地球が危ない」
Cさん「二酸化炭素による地球への影響」
学生さん「氷河がとけている」

質問2 中心語句は?

2人とも「氷」

質問3 グリーンランドは、どんな国か?(文中から見つけだす)

「北極にある世界で一番大きな島で、ほとんどが氷におおわれている」
「海の近くだけ夏はとけて地面が出て、昔から人が住んでいた」
「日本の6倍もある島に、わずか5万7千人だけ住んでいる」

質問4 (記事を見せ)これは何の写真か?

「氷河」
「氷河がとけだしている」
「川のように流れている」

質問5 北極と南極はどちらが寒いか?(記事の中から探し出す)

(「北極」という答えが出たが記事には「南極」と書かれている)

― では、なぜ南極のほうが寒いのか?(自分で考える)

Cさん「地軸は傾いていて、太陽に対して常に北極のほうが近いから」

学生さん「地球上で一番暑いのは赤道よりやや北の緯度にある。それは大きな大陸が北半球により多くあり、陸地のほうが暖まりやすいということからきている。その一番暑い地点からは北極の方がより近いので、気温は南極より高くなる」

(生徒から感心の反応)

質問6 氷がとけた影響は?まずは、グリーンランドでは。(記事の中から見つけだす)

「氷河からとけ出した水の量が増えて、洪水が起き、大きな橋がこわれ、川も渡れなくなった」
「海がこおる時期や場所が変わって、(猟のための)犬ぞりで走れなくなった」
「これまで見られなかった貝がとれるようになった」

「それは、いいことなの?」との素朴な質問がCさんからでる。

― 目先の利益だけ考えれば、いいことのようにも思えるけど、環境が変化していることは間違いない。次に、地球全体への影響はどうだろう?(記事の中から探し出す)

「海面が上がる」
「海の生き物の暮らしに影響が出る」
「海の水の流れも変わるかもしれない」
「海水の温度が変われば、その上の大気の温度や流れも変わり、天気に影響が出る」

質問7 氷がとける原因は?(記事の中から探し出す)

「二酸化炭素」

― それでは最後の質問です。あなたが地球環境を守る責任者なら、どんなことをやりますか?

Cさん「大人に死んでもらいます。人間が多すぎますから」

― 恐いなあ・・・・。昔は、定期的に戦争、飢饉、伝染病などがあって人口はそれほど増えなかったけど、今は人間が死ななくなった。それがこの問題の根本にあるのは間違いない。でも、それだとキミのお父さん、お母さんも死なせてしまうことになるよ。

Aさん「では、犯罪者に死んでもらえば・・・」

― これも恐いなあ。例えば、万引き、窃盗、詐欺なんかも捕まったら死刑になっちゃうの?「ちょっとした出来心だから赦してください」なんてお願いしても、だめ?

Aさん「じゃあ、テロリストを死刑にします」

― それだと数が少なすぎてほとんど意味がなさそうだ。人間を減らすというのは、言い方を代えれば、温暖化の原因となっている二酸化炭素を減らすというとこだ。でも、もっと優しい方法はないかな?

Aさん「自動車などを買うときの税金をもっと上げたらどうでしょう。ガソリン代、燃料代も値上げします」

― これは、なかなかいい案だ。実際にシンガポールでは行われているようだよ。小さな国だから車が増えると渋滞や排ガスで大変なことになる。でも、タイは去年まったく逆のことをやっていたね。初めて車を買う人には、10万バーツ値引きしていた。税金を使って、わざわざ環境破壊や渋滞を生み出していく政策といえる。他には?

Cさん「木をたくさん植えます。1人一本ずつ植えていけば数十億本増えますから。ロシアの原野の木々があれば、それだけで人間が生きていくのに必要な酸素が作り出せるそうです。1人1本で足りなければ、もっと植えます」

― シンプルだけどいい案かもしれない。二酸化炭素の排出量を制限するより、排出後の浄化に着眼する方法だね。

Aさん「他の星、たとえば火星なんかに移住すればいい。火星には、水もあるみたいだし・・・」

― 火星の表面に水が流れていた形跡が見つかった、というニュースは聞いたことがあるけど、今現在まだ水があるのかは分かっていないんじゃないかな。

学生さん「クリーンエネルギー、たとえば太陽光パネルなどをもっと普及させたらどうでしょう」

― さすが大学生だね・・・。

(すかさず)Cさん「でも、太陽光パネルは、作る過程でもの凄い量の二酸化炭素を発生させると聞いたことがあります」

― へえ・・・。本当なの?

Cさん「みんな自転車を使えばいいんですよ」

これも極端だけど、確かに問題は解決しそうだ。本当に環境を守っていこうと思ったら、これまで普通に利用してきた便利なものを場合によっては捨てていかねばならないのかもしれない。はたして、そこまで徹底できるかどうかは、わからないけどね。それでは、今日の授業はここまで。

第12回
東京大空襲から68年

7月27日

教材 朝日小学生新聞2013年3月8日号「東京大空襲から68年。火の海で10万人が犠牲に」

総合クラス

黙読の後、質問に入る。

生徒から「空襲」の意味について質問が出る。
「飛行機などを使って空から攻撃すること」

・中心語句は?
「北十間川」「京成橋」「空襲」「死」「戦争」「スカイツリー」「吉野山さん」「思い出」「火」「光景」「東京大空襲資料展」などいろいろ出た。

・要旨は?
「吉野山さんの戦争の思い出」
「吉野山さんの見た空襲の光景」
「 ― と今の光景」
「空襲の光景」
とこちらもいろいろでした。

― 吉野山さんのお父さんは無事だったんだろうか?
「死にました」
(すかさず他の生徒から)
「生きています。帰ってきました」
それが書かれている部分を音読。

― 学校はどうだっただろう?
「焼け残っていました」
「地下室に行くと全身傷だらけの人たちが集まっていました」
― 非常時には、大きな場所にみんなで避難することが多いね。
「でも、一箇所に集まっていると危ないんじゃないですか?」
― そういう場合もあるね。2次攻撃されたら、一度に殺されてしまうし、津波のときは、避難先の体育館が直撃を受け大勢亡くなった。

― 街はどんな様子だっただろうか?
「京成橋からみた北十間川には、亡くなった人たちが大勢浮かんでいました。熱さに耐えられず・・・・(以下本文を読み上げる)」
― 普通なら犠牲者の収容は丁重に行うものだけど、このときは、そんな余裕はなかったみたいだね。鳶口(先に鉄製のかぎがついた道具)で遺体を引っ掛けて片付けていたと書いてある。

― 戦後、看板に文字や絵を描く仕事を始めた吉野山さんは、戦争の絵をずっと描くことはなかった。それはなぜ?
「思い出すのが嫌だったからです」

― 2005年に初めて描いたのは、どうして?
「小学校のときの友だちに絵に残してほしいと言われたのがきっかけです」

― 文中に3月10日と出ているけど、それは何年のことだろう?
「1947年?」
― おしい!
「1946年?1945年?」
― そう、1945年。昭和20年の出来事だ。では、8月6日といえば・・・?
「戦争が終わった日?」
― それは8月15日。
「じゃあ戦争が始まった日?」
― それは12月8日。
「先生、よく知ってますね」
― 日本人なら、だいたい知ってるよ。8月6日は?
(なかなか答えが出ない)
― ヒント。3月10日と同じようなことが起こった日です。
「えーと・・・、ヒロシマ?」
― そう。原爆記念日だ。長崎は8月9日。
「それなら、僕がさっき言いました」
― キミは、「ボカーン、ボー・・・ム」と言っただけで、それだと幼稚園児なら正解だけど、中学生なんだから、ちゃんと分かるように説明をしなきゃ(一同笑い)。

― なぜ空襲するんだろう?
「戦争だから」
― 戦争になると、どうして空襲するんだろう?
「相手を殺したいから・・・」
「見せしめにするため」
― それだけかな? 人を殺すだけなら機関銃でもいいんじゃないか。どうして、爆弾や焼夷弾を使うの?
「街や建物を壊すためです」
― その理由は?
「・・・・」
― なぜ建物や街を壊す必要があるのかな?
「資源・・・?」
「作らせなくするため?」
― 何を?
「いろいろなもの」
― 大昔の戦争は軍団と軍団が戦って、どちらかが勝つ。予備の兵力がなければ、そこで戦争が終わっていたけど、近代の戦争は、何十万、何百万と兵力を動員するから一回の戦いでは終わらない。何度も戦闘が繰り返され、壊れたり失ったりした武器や弾薬をどんどん造っていかなければ負けてしまう。相手にそれをさせないよう、生産の邪魔をするための空襲でもあるんだ。
― そもそも、どうして戦争が起こるんだろうか?
「相手を殺したいから・・・」
― そうかな? 
「相手をやっつけたいから・・・」
― どうして?
「・・・・・」
― 戦争の理由はいろいろあるけど、お互いの利害がぶつかったときに起こることが多い。特に近代の大きな戦争は、資源の奪い合いが大きな原因になっている。例えば、アメリカやイギリス・・・、イギリスも今では、ずいぶん小さな国のようなイメージになってしまったけど・・・

(と、ここまで言ったところで、すかさず生徒から)「 いえ、イギリスは今でも、カナダやオーストラリア、ニュージーランドなどと英連邦を作っていますから、やっぱり大きいと思います」

― 確かにそうだけど、政治的、軍事的な影響力は以前と比べ、見る影もないね。当時(第2次大戦前)のアメリカやイギリスのような超大国は、わざわざ国の将来を賭けて戦争する必要はないんだよ。<金持ち喧嘩せず>だ。でも、日本やドイツのような持たざる国は、なんとか資源を手に入れようとする。今のように自由貿易ではないからね。そして、アメリカやイギリスは、そうされると困るから利害がぶつかるんだね。

― もしキミたちが当時の日本の政府なら、どんなことをやるだろう。やっぱり、戦争したのかな?
「アメリカやイギリスのような強い国から奪うのではなく、もっと弱い国を選びます」

― なかなか、ずる賢い案だけど、実は昔の日本も同じようなことをやっていたんだよ。アメリカやイギリスから直接(領土や資源を)奪おうとすれば、大変なことになってしまうんで、こっそりベトナムに進出したり、インドネシアを狙ったりしていたんだけど、やっぱりアメリカを怒らせてしまったね。 
来月、また戦争経験者に来てもらって話をしてもらうから、楽しみにしていてね。では、今日の授業はここまで。

第11回
エジプトでクーデター発生
9月28日
クラス 総合
<教材> 朝日小学生新聞2013年7月24日号「軍が大統領をつかまえ、国内が二分」


記事を読んで以下の設問に答えなさい。

問題1)ムルシ氏は、どうやって大統領に選ばれましたか。

(2年前、民主化を求める大きなデモが起きて30年続いた独裁政権が倒れ、去年6月に大統領選挙をして選ばれた)

問題2)次の文章の[ ]に文を入れなさい。

エジプトは今、真っ二つに割れています。
多くの人々が、今回の軍の行動を、

[ (ひどい政治にあえぐ民衆の求めで軍が動いてくれた。第2の革命だ) ]

と喜んでいますが、ムルシ氏を支持する人々は、

[ (軍のやり方は違法。ムルシ氏こそ正当な大統領だ)         ]

とデモを続けています。

問題3)下の文の[ ]に言葉を入れなさい。

30年間ずっと[ 独裁 ]を続けていたムバラク大統領が2年前、「アラブの春」と呼ばれる[ 民主化運動 ]で辞任した。その後、1年あまり軍が政治の[ 実権  ]をにぎっていたが、去年、エジプトで初めての[ 自由な選挙 ]でムルシ氏が大統領に選ばれた。

問題4)ムルシ氏の人気がなくなった理由はなんですか?

(「これでエジプトはよくなる」とみんなが期待したけど、景気はどんどん悪くなり、人々の暮らしは苦しくなった)

問題5)ムルシ氏を応援するのは、どんな人たちですか。

(ムスリム同砲団というグループの人たちで、イスラム教の教えに従って世の中をよくしようと考えている)

問題6)クーデターを起こした理由について軍は、「民衆の求めで動いただけ。独裁することはない」と説明していますが、別の見方もあります。それは、どういう見方ですか。

(軍が力を失うのを恐れて強引なやり方に出た、という見方もある)

問題7)対立している両陣営を簡単に説明すれば、ムルシ氏を応援するムスリム同胞団は、

[ 貧しい人 ]の支持を集めていますが、軍は[ エリート集団  ]です。

 

宿題)

下記の言葉で文を作りなさい。

民主化、選挙、批判、支持、民衆


第10回
アベノミクスって何?

今回は、お金、経済について書かれた記事を教材に使いました。

9月21日

クラス 総合

問題に入る前に、キーワードの解説。

白川さん(昨年度までの日銀総裁)

黒田さん(今年度からの日銀総裁)

景気(世の中でお金が動く様子)

<ステップ1>

朝日中学生ウイークリー 2012年10月21日号「日本銀行総裁・白川方明さんにインタビュー。安定した経済めざす」

コピー①には、今年3月まで日銀(にちぎん)の総裁(そうさい)だった白川さんの考えと日銀の機能(きのう)について書かれています。読んで設問に答えなさい。

問題1)日銀には、大きく分けると3つの機能がありますが、それぞれ解説しなさい。

1.「発券銀行」

・日本でただ一つお札を発行できる。

2.「銀行の銀行」

・民間の銀行にお金を貸す。

3.「政府の銀行」

・国がお金の出し入れをする

問題2)白川さんは、みんなの暮らしをよくするために、日銀の仕事は、何が大切だと考えていますか。

お札を発行する。銀行に預けたお金を安心して使えるようにする。

問題3)白川さんは、自分が総裁になってからの景気の悪化の理由の1つに「過度な需要の高まりの反動」をあげています。それを説明しなさい。

2000年代半ばにお金をたくさん供給し過ぎた影響で世界中の景気が良くなりすぎてバブルが発生し、それが潰れて先進国を中心に景気が悪くなった。

<ステップ2>

朝日小学生新聞 2013年3月30日号「日銀総裁になった黒田さんはどんな人?」

コピー②では、新しく日銀総裁になった黒田さんの考え方を紹介しています。読んで設問に答えなさい。

問題1)黒田さんは、みんなの暮らしをよくするためには「金融緩和(きんゆうかんわ)」が必要だと考えていますが、それを簡単に説明しなさい。

・お金を借りたときに払う利子を下げる。

・世の中に出回るお金の量を増やす。

問題2)金融緩和でお金が使いやすくなれば、どんないいことがあると黒田さんは考えていますか。

・お店の商売や会社の仕事が活発になる。

問題3)デフレとは何ですか。

・モノの値段が下がり続けること。

問題4)インフレとは何ですか。答えは文中にはありませんが、デフレの逆の意味です。

・モノの値段が上がる続けること。

問題5)黒田さんは、デフレとインフレのどちらを目指そうとしていますか。

目標値までのインフレを目指しています。

問題6)しかし、昨年まで日銀は、黒田さんの意見に反対していました。それは、なぜですか。

目標を決めてモノの値段を上げようとすると、上がりすぎた時にコントロールできなくなる心配があるから。

問題7)白川さんと黒田さんの考え方を簡単に説明すれば、

白川さんは、お金を(  安心して使えるようにしたい )と考えていますが


黒田さんは、お金を( 使いやすくしたい       )と考えています。

生徒から「同じ考えなんですか?」との質問。

― 例えば、今買いたいものを我慢して1万円貯金したとする。1年後にお金を下ろして買おうとしたとき、買いたいものが1万1千円になっていたら買うことはできない。つまり、お金の価値が下がったということだ。それではいけない、いつでも安心してお金を使えるようにしなければだめダメだ、というのが白川さんの考えで、たとえ1万1千円になっていたとしても、もっとお金が入ってくれば、買うことができるじゃないか、お金を使いやすくして、みんながお金を使うようになれば、景気はどんどんよくなるから、みんなの収入も増える、というのが黒田さんの考え。
こつこつと節約して地道にお金を貯めたいと考える人には白川さん、いや、もっと大きく儲けて、お金をたくさん使いたい、と考えるなら黒田さんの目指す世の中のほうが向いているかもしれないね。

生徒から「安倍総理は、黒田さんと同じ考えなんですか?」との質問。

― ほとんど同じだと思う。黒田さんの考えと同じ方法でデフレをなくし、経済をよくして日本を再生する、というのがアベノミクスの本筋だ。(3本の矢として、金融緩和以外に、公共事業、成長戦力もあるが、ここでは説明しない)

問題8)あなたは、どちらの考えが正しいと思いますか?その理由は?

生徒の一人の答え)個人的には物が安く買えるので白川さんの考えがいいと思いますが、国全体のことを考えれば、商売や会社が活発になるので、黒段さんの考えがいいと思います。

宿題)次の言葉を使って文を作りなさい。

発券 民間 過度 反動  緩和

第9回

ダムの水が不足しています(7月26日号)

9月14日

クラス 総合

教材 朝日小学生新聞7月26日号「ダムの水が不足しています」

 ・記事を読んで下の質問に答えなさい。

1.貯水率とは何のことですか?

  (計画で決めた水量に対して、どれだけ水がたまっているかを表した数字)

2.取水制限とは何のことですか?

(川から取る水の量を制限することで、国や自治体が話し合って決める)

3.給水制限とは何のことですか?

(各家庭に送られる水の量を減らす)

・語彙の確認の後、下の3つの言葉を使って作文を作りなさい。

上流

貯水量

水源

・プリントの漢字に送り仮名を付けなさい。

(基本的な漢字が読めない生徒が多いので記事の振り仮名を消して、読みの練習を行いました)

Aさん 所要時間15分

Bくん 最後の振り仮名が終わらず宿題

Cさん 最後の振り仮名が終わらず宿題

Dくん 最後の振り仮名が終わらず宿題

 
第8回
ハチに刺されたら・・・

日時 9月7日

クラス 総合

教材 朝日小学生新聞7月25日号「ハチにご用心」

黙読の後、問題を読んで解く。

1)ハチが襲ってくる原因は何ですか?
(人間がおどかした場合や黒い色を見たとき)

2)ハチに襲われて逃げるとき注意することは?
(ハチを刺激しないよう静かに低い姿勢で逃げること)

3)ハチ毒アレルギーを注意しなければならないのは、どんな人か?

(・過去にハチに刺されたことのある人)
(・一度に何匹ものハチに刺されたとき)
 
 
注、写真と授業は関係ありません。

ハチ毒アレルギーの症状

(・全身にじんましん)

 (・吐き気)

(・呼吸困難)

(・意識障害)

ハチに刺されたときの応急処置

(・針が残っていたら取り除く)

(・水で洗って毒をしぼり出す)

 病院のない山の中などでハチに刺された場合、やってはいけないことを2つ書きなさい。

(・歩くこと)

(・おんぶ)

 

Aさん  所要時間10分 全問正解

Bくん  所要時間20分以上 7割正解

cさん  所要時間20分以上 5割正解

Dくん  所要時間30分内で終わらず 3割正解

最後に、口頭で質問。

ー 中心語句は?

「ハチ(全員)」

ー 要旨は?

「ハチに刺されたときどうするか?」
「ハチ・アレルギーについて」



第7回
集団的自衛権って何だろう。
 

日時 8月3日

クラス 総合

教材 朝日小学生新聞「仲間の国を守るため武力を使う権利」

― 今日の記事は難しいと思う。これが読み解ければ大したものだ。大人でも分からない人は多いと思う。みんな、頑張ってください。

各自黙読。

― 中心語句は?

「憲法9条」「解釈」「首相」「個別的自衛権」「集団的自衛権」「アメリカ」「国際法」「解釈拡大」「武力」といろいろ出るが・・・

― 中心語句は、「何について書かれている?」と聞かれて、一言で説明できる言葉だ。ここでは、「集団的自衛権」だと思う。

(注、写真と授業は関係ありません)

― 要旨は?

「集団的自衛権は認められるか?」
「集団的自衛権は憲法9条で認められない」

― 自衛権って何だろう?

「自分(自分の国)を守る権利のことです」

― そうだね。では、自衛権には、どんなものがある?

「(文中から探し出す)自分の国を守る個別的自衛権と仲間の国を守る集団的自衛権です」

― 日本の場合、両方認められているかな?

「(文中から)いえ、個別的自衛権は認められていますが、集団的自衛権は認められていません」

― それは、なぜだろう?

(なかなか答えが出ない)

― 恐らく、世界のほとんどの国では、両方認められていると思うけど、日本では、個別的自衛権だけだ。どうしてなんだろう?

(ずっと、沈黙していたDくんが)「(文中から)国際法上の権利として、個別的自衛権は認められますが、憲法9条の制約があるから集団的自衛権は認められません」

― そう、そのとおり! (文全体が)ぜんぜん分かっていないんじゃないかと思って心配していたけど、ちゃんと分かってるじゃないか(一同笑い)。では、日本の政府は、どうしようとしているのだろう?

「(文中から)両方使えるようにしようとしています」

― でも、憲法でできないことになっているんだよねえ。

「だから、憲法を変えようとしています」

― そうかな?確かにそういう考えの人もいるけど、文中には、そう書いてないよ。

「解釈・・・?」

― そう。解釈を変えようとしている。ところで、「憲法の解釈を変える」と「憲法を改正する」は、どう違うんだろう?

「うーん・・・・」
(なかなか、答えが出ない)

― 「憲法を改正する」というのは憲法を変えることだ。じゃあ、「解釈を変える」というのは? 

(答えが出ない)

― よし。辞書で「解釈」を引いてみよう。

「『ことばや文章の意味を考えて明らかにすること』です」

― ということは、「憲法の解釈を変える」というのは、どういう意味なんだろ

「ほんとは、そうじゃないんだけど、別の意味を考える・・・・とか?」

― うん。なかなか、いいね。「昨日の天気はどうだった?」と聞かれ、実際は、ざーざーと雨が降っていたのに、「晴れては、いませんでした」と答えることもできる。憲法の解釈を変える、というのは、ちょっと、これと似ているかな。

「なら、憲法を変えればいいじゃないですか」

― 確かに、そうだ。本当に集団的自衛権が必要だと思うなら、堂々と改正すればいいんだけど、政府のやろうとしていることは・・・?

「解釈を変える」

― そう。でも、それは、なぜ?

(なかなか、答えが出ない)

「面倒だから・・・?」

― まあ、簡単に言ってしまうと、そういうことかな。憲法を変えるには、国会議員の3分の2以上の賛成が必要で、その上で、さらに国民投票で過半数を取らなければならない。これは、なかなか大変な数字だね。

― ところで、政府は、なぜ集団的自衛権を認めさせたいのだろう?

「(文中から)アメリカとの同盟関係を強めたいからです」

― どうして?

「(文中から)中国との尖閣諸島の問題とか、北朝鮮の核問題があるからです」

(ここで、インター校に通う生徒から)「北朝鮮って、どこですか?」

― ノース・コリアのことだね。最後に、この記事を書いた人は、どんな考えを持っているかな?

「(文中から)憲法の解釈を変えることは、慎重に考えた方がいいと言っています」

― では、キミたちが新聞社の代表なら、どんな紙面を作る?

「私は、やっぱり、(先日の課題のときと同じように)自分の意見を、もっと、はっきり出します」
「僕は、やはり、(先日の課題のときと同じように)新聞は中立であるべきだと思います。間違った意見を出してしまったら、大変なことになるからです」
「でも、それだと、どの新聞も同じになって、売れないと思います。売ろうと思ったら、自分の意見を出すべきです。後は、読者が判断します」

― 確かに、アメリカの新聞なんかは、大統領選挙のときにも、どちらを支持するか、はっきり書いている。同じことしか書かないのは、中国や北朝鮮など言論の自由がない国に多い。それに、間違った意見だったかどうかは、何十年か経たないと分からない場合があるしね。ところで、Dくんは?

「僕は、新聞なんか出しません(一同爆笑)」

― 面倒なことはしない。日本国政府みたいだね。まあ、確かに、それも一つの考えだ。では、今日の授業はここまで。


第6回
サッカーW杯最終予選の記事を読み解く
日時 8月31日
クラス 総合
教材 朝日小学生新聞6月4日号「今夜決戦」

日時 8月31日

教材 朝日小学生新聞2013年6月4日号「今夜決戦」

クラス 総合

今週は、口頭の質問ではなく、問題文を読んで回答を書かせました。答えは、すべて文中にあります。

1)今夜の試合が過去のワールドカップ予選と比べ、特に注目される理由はなんですか?

・日本で出場を決めれば初めてとなるから。

2)サッカー解説者の福西さんは、簡単には勝てないと予想していますがその理由は?
・オーストラリアは高さとパワーを備えた日本が苦手なタイプ
(注、写真と授業は関係ありません)

・ベテラン選手が多く日本の戦い方を知っている

・アジアのトップをねらうライバルとして日本戦へのやる気も高い。
・オーストラリアはB組3位で日本戦で勝ち点を取らなければ予選突破は難しい。

3)今夜の試合で日本がワールドカップに出場するためには条件があります。それは?

・勝つか引き分け

4)試合の見どころは?

・本田選手と香川選手のポジション取り。

・なぜかボールが集まる遠藤選手のプレー。

5)福西さんは、試合後の注目点も挙げていますが、それは?

・(日本での試合のため)予選突破直後の選手の生の声が(インタビューで)聞ける。

6)今月15日から行われるFIFAコンフェデレーションズカップとは、どんな大会ですか?

・各大陸の王者が集まる大会。

7)日本チームのワールドカップでの目標は?

・ベスト8

8)そのためには何が必要だと、福西さんは言っていますか?

・途中出場し、試合の流れを変えられる選手が出てくること。

 

Aさん  5問正解し、ヒントを与え全問正解(所要時間約20分)

Bくん  4問正解(所要時間30分)

Cさん  記事中の答えが書いてある部分に線は引けているが書き出して回答にすることができない。

2名  時間内で終わらせるとこができない。1名2問終了(正解)、1名1問終了(不正解)。


第5回
巡回指導合同ミーティング
日時 8月25日 巡回指導終了後
<バンコクの先生方の感想>

・新聞読解の授業で小4、小5と中学生で理解の速さがかなり違ったので発展問題を用意してもよかった。

・2日目の方が集中していた。前日のビーチレクリエーションで一緒に遊んだ効果が出た。頭から水をかけられた甲斐があった。2日目につながった。教室でやると、指導者という立場が崩れない。
運動会のようなノリでもよかったかも。
あるいは、特に種目を決めず、一緒に遊ぶだけでもよかったかもしれない。

・全日制の学校には休み時間という武器がある。20分休憩もあるので、休み時間に子供たちと一緒に何かをやれば、「この先生と一緒にいたら楽しいぞ」と思われ、その後の授業が違ってくる。補習校は休み時間が短く大変だ。

・どの授業でも「足場つくり」が大切。授業目標を達成するために、その土台を授業の頭で行う。

・40分で5分休憩は、なかなかきつい。特に午前中4時間は大変。4時間目はだれてくる。

・プーケットの先生方がサポートに入ってくれて助かった。初日は、こどもたちとの接し方が判断し辛く、プーケットの先生が代わりに子供たちを注意してくれたのでよかった。崩れそうな児童をタイミングよく止めてくれた。

・叱るとき、「これとこれをやったら叱るよ」と予め注意しておく。一回目は注意し、2回目に叱る。自分で何が悪かったか言わせる。

・子供たちの席は決めてしまったほうがよい。理解が遅い子は、前列の中心へ。できる子は後ろに。静かな子でも理解力が高ければ後列でよい。月に一度席替えしてもよい。

・机、いすの高さに注意したら。足が付かないと体勢が崩れる。

(次回の検討課題)

45分10分休憩で午前3時間、午後2時間。

先生方の宿泊先はPSUに近い場所で。PSUロッジも候補。


第4回
日時 8月25日巡回指導1時間目
クラス 応用1
教師 中尾

ー みんな、この歌知ってるかな。

(ドレミファソラシドをホワイトボードに書く)

ー じゃあ、歌ってみよう。

(最初は、教師単独で。続いて一緒に)

暗唱の練習。

同じメロディーを繰り返すが、一部分変えていく。リズムで覚えやすくする。

 

ドレミファソラシド ドシラソファミレド

昔は、ふざけて、こういった

ドラネコ ソラキタ ドシタラ ヨカロウ

むかしゃ どらねこ いま パンダ

タレメノ ソダチゾ クジラジャ ナケレド

くすりやさんでは こううたえ

ドレガハブラシダ ドチラモハミガキ

さいごにきどって アンコール

ドレミファ ソナチネ ドシラソ ファミコン

(阪田寛夫 作「ドレミファかえうた」)

ひと通り一緒に歌った後、暗唱シートを配り、立って練習させる。集中力を高めるためか。

できた人から手を挙げさせる。シートにスタンプを押す。

「つかみ」は大成功。2日目1時間目だったが全員参加型の課題で勉強モードに自然に入る。

続いて、「わ」と「は」。「お」と「を」の違いに入る。

ぞうの □な□、ながい

シートをボードに貼って全員で考えさせる。

ー できた人は・・・

多くの子が一斉に手を挙げる。積極性が凄い。普段の授業でもこれくらい頑張ってほしいものだ。

□には こ□そうだ

ぼく□ お□しでたべる

□たし□ はしを□たる

□りがみ□ □る

□やつ□ たべる

□にごっこ□ しよう

□かあさん□ □こらせる

一人ずつ順番に当てるが、「当てる順番に、ずいぶん気を使った」そうです。

全員終わったところでチャイム。時間ジャスト。

 
第3回
日時 6月29日
プーケット補習校の中学生が中学生新聞に挑戦!
5月25日「原発は必要ですか?」から続く授業です。

教材 朝日中学生ウイークリー2012年9月9日号「直接廃棄、検討開始」

冒頭で教材の説明

― 今週の教材「朝日中学生ウイークリー」は、いつも使っている「朝日小学生新聞」と同じ朝日新聞社が中学生用に出している新聞だ。
Bくん「中学生用の新聞は、書く側にとってみれば、一番作るのが難しいと思います。大人用なら難しい言葉や表現を普通に使えますし、逆に小学生用だと、誰でも分かるように易しい言葉で説明すればいいわけです。でも、中学生用だと、どこまで難しい言葉を使っていいか、(判断が)難しいと思います」
― いい意見だね。ところで、「小学生新聞」と「中学生ウイークリー」、パッと見て、明らかに書かれ方が違う部分があるけど、何だろう?
(ちょっと考えた後)Cさん「振り仮名です」
― そうだね。小学生新聞は、漢字にはすべて振り仮名が付いているけど、中学生ウイークリーでは、ほんの一部だけしか付いていない。これが読めれば、朝日新聞等、大人用に書かれた新聞も読める、ということになる。内容は、前回の小学生新聞「『使用済み核燃料』処分進まず」と、ほとんど同じなんだけど、一部分だけ違うところがある。今日の課題は、それを探すことだ。「そうだ」と思う部分に線を入れていけばいい。大学の入試問題を解く場合でも、同じやり方だよ。
(2つの記事のコピーを生徒に読ませる)

そろそろ、いいかな。じゃあCさんから。

Cさん「中学生ウイークリーには、高知県・・・という地名が出てきます」
― そう。小学生新聞には、(廃棄物の)処分場を提供してくれる自治体を探している・・・としか書かれていないけど、こちらは高知県東洋町が名乗り出て、地元住民の反対で取り下げた、と出ているね」
Cさん「これに限らず、中学生ウイークリーの方が説明が細かいです」
― 他には?
Bくん「ガラス固化体部分ですか・・・?」
― そうだね。でも、どう違っている?
Bくん、Cさん「うーん・・・・」
―その部分を、よく読んでごらん。
Cくん「小学生新聞は、フランスなどに頼んで送り返してもらったものを含めて、2008年12月現在で、約1700本」
Bくん「・・・中学生ウイークリーには、2009年12月末までの原発の運転で生じた使用済み核燃料から換算されるガラス固化体の本数は約23100本」
― これはどういう意味か分かるかな?
Cさん、Bくん「1年間で、もの凄く増えた・・・?」
― そうだろうか。よく読んでごらん。
(なかなか答えが出ない)
Bくん「えーと・・・、小学生新聞の方は、もう既に固化体になっているものの数で・・・」Cさん「・・・中学生ウイークリーは、廃棄物の量から換算して、全部固化体にした場合の本数です」
― そうだね。後者は、まだ固化体になっていないけど、いずれは固化体になる、その総数だ。同じ内容なんだけど、出してくる数字が違っている。国や大きな会社が、よく使う手だから覚えておくといいよ。例えば、ある食品を食べて、10万人が健康に暮らしています、と書くのと、実は5人の人に中毒症状が出ている可能性がある、と書くのとでは、意味が全然違ってくる。どちらも嘘ではないけど、真実を伝えているとは限らない。他には?
Cさん「ドイツのことも書かれています。脱原発を掲げているドイツでさえ、最終処分をどうするかについては決まっていません」
「スウェーデンとフィンランドの例も出ています。両国とも直接処分をしているので、日本は参考にしようと調査や研究に使う予算を計上する予定です」
Bくん「放射能の強さについての説明にも、中学生ウイークリーは、数字を使っています。燃え残りのウランやプルトニウムの出す放射能の強さは1千年で3千分の1、数万年で原石と同じになります」
「そして、記事のまとめとして、今回は澤井正子さんの話が出ています」
― 小学生新聞では、大学の先生だったけど、澤井さんの話は、それと結論は違うのかな。
Bくん「ほとんど、かわりません。でも、ぼくは、大学の先生の意見(を最後にもってくること)の方がいいと思います。
― どうして?
Bくん「澤井さんの肩書きは、長すぎます!(一同爆笑)」
―確かに、「脱原発を目指す民間団体・原子力資料情報室の核燃料サイクル問題担当・・・」と書いてあるけど、長すぎる肩書きは、あまりいい印象を与えないかもしれない。「内閣総理大臣」、「会社社長」・・・短い肩書きは、イメージがはっきりしている。
― では、最後の質問です。キミたちがもし編集長、あるいは新聞社の社長なら、どういうまとめ方をしますか?
Bくん「ぼくは、一方の意見、この場合なら、原発反対の意見だけでなく、賛成の意見も出して、両方を紹介し、読者に判断をまかせます」
― 賢明なやり方だね。Cさんは、どうだろう。
Cさん「私も同じかな。でも、私は両論出しますが、自分の意見も、はっきり主張します。それがフェア(なやり方)だと思います」
― 公平を装って、実は自分の意見に誘導しようとするマスコミは、日本には多いけど、Cさんの意見は、それとは違う。あくまでも、判断は読者にまかせるが、自分の意見も堂々と主張する、そういうことだね。
Bくん「ぼくは、自分の意見は出しません。もし、それが間違った意見だったとしたら、大変なことになるからです。日本の運命を変えてしまうかもしれません」
― 確かに、それは言えるね。戦争のとき、日本の新聞は、全紙すべて「(対米)戦争をやるしかない。必死で戦えば絶対勝てる!」と主張して国民を引っ張っていったけど、結果は大失敗のボロ負けだった。戦争が終わった後、「実は、軍部に無理やり、書かされていたんです」なんて見苦しい言い訳をしていたけど、そんなことになるなら、自分の意見なんて主張しない方がいいかもしれない。
Bくん「ぼくは、新聞は常に中立の立場、例えば、(二等辺)三角形の頂点で、両論のバランスをとるようなやり方がいいと思います。どちらか一方に傾かないようにバランスをとるべきです。
― やじろべえみたいだね。でも、さすがに中学生にもなると、みんな立派な意見を持っているね。安心したよ。では、今日はここまで。
7月20日に最後の仕上げを行いました。
「直接廃棄」 「使用済み核燃料」「再処理」「原子力発電所」「事故」「脱原発」「ガラス固化体」「保管場所」「放射能」「安全性」「危険」
・上記11の言葉をホワイトボードに書き、まず読み方を確認。
・続いて意味を確認。
本日の課題
― 上記の言葉を全部使って、文を作りなさい。文の数は問いません。
Dくん
「直接廃棄をする」
使用済み核燃料を捨てる」
「ゴミの再処理をする」
「原子力発電所に行った」
「事故が起きた」
「脱原発を止める」
「ガラス固化体を持っている」
「保管場所に行った」
「放射能の意味を覚えた」
「安全性という漢字を覚えた」
「危険なことをやる」
Cさん
「今まで、使用済み核燃料を再処理してガラス固化体に詰め、保管場所で保管していました」「でも、原子力発電所で放射能が漏れる事故が起こり、安全性を考え、脱原発を目指しています」
「残った使用済み核燃料を直接廃棄するようになりました」
「プーケットは危険だ」
Bくん
「最近は脱原発が進んでいますが、その理由は、2011年に起きた原子力発電所の事故です」
「今まで日本は、使用済み核燃料を再処理し、ガラス固化体にして、保管場所に保管していましたが、脱原発が進み、それを直接廃棄しようとしています」
「が、そうすると、放射能が漏れて安全性が保障できないので、反対に危険かもしれない」

各自自分の作った文を読み上げ発表。

 

 

 

第2回

原発は必要ですか?
生徒たちに聞きました。


5月25日 

総合クラス 出席4名

講師 西岡

Aさん(中2女子) 国民の多数決を取って、必要という意見が多ければ続ければよいし、反対が多ければ、やめた方がいい。また30%だけ動かすといった意見が多数なら、それでもいいです。


― キミ自身はどう思う?

私は半分だけ動かすのがいいと思います。

― どうして?

反対の意見も、賛成の意見も両方取り入れて、その間にあるからです。

― なるほど。たして2で割るやり方だね。じゃあ、Bくん(中2男子)は?

僕は、今原発が造られている場所をよく調べて、危険性が高い場所にある原発は廃止し、安全な場所にあるようなら続ければいいと思います。

― では、Cさんは(中1女子)?

私は反対です。続けるべきではありません。日本は地震や津波などの自然災害がとても多く、原発を動かすには危険が多すぎるからです。

― Dくん(中2男子)は?

ぼくも、半分だけ動かせばいいと思います。理由はAさんと同じです。

 

上記のやりとりの後、翌週6月1日に小学生新聞読解の授業を行いました。

教材 朝日小学生新聞2012年9月12日号
「『使用済み核燃料』処分進まず」

冒頭で、先週の復習。各自の意見を思い出す。

― 先週は全員、原発を廃止するか、少なくするという意見だったけど、それはどういう理由だっただろう。

 

(全員)「危険だからです。事故が起こると大変だからです」

― 原発は事故が起こると大変だ。でも、それが分かっていても、造ってしまったのは、なぜなんだろう。原発のメリット、長所って何だろう。

Aさん 「安いこと。電気を安く作れます」

― そうだね。そういった理由で、これまでは原発が造られてきた。電気っていうのは、基本的に作り溜めができないんだ。自転車のヘッドライトは、ペダルを漕いで、タイヤが回っていれば、灯りは点くけど、止めると消える。今使っている電気は、今作らなければならない。だから大都市では、もの凄い量の電気をずっと作り続けなければならない。原子力のエネルギーを利用すれば、それが簡単に安くできるんだね。じゃあ、記事を読んでいこう。

<各生徒が記事を黙読>

― では、最初の質問です。キーワード(中心語句)は?

「核燃料」

― そうだね。もうちょっと付け加えれば、頭に「使用済み」と付けてもいい。では、要旨は?

「使用済み核燃料の処分」「- 処分方法」「- 処分方法の変化」

― では、文中に処分の方法が書かれているけど、その内容は?

Aさん 「『再処理(リサイクルして再利用)』と・・・、『直接廃棄(再利用せず捨ててしまう)』」

― ちょっと説明してくれるかな。

「(記事中から探し出して読み上げる)再処理は、ウランとプルトニウムを取り出し再利用し、ゴミとして残った廃棄物をガラスで固めた固化体にして、地下300mに埋めます」

「直接廃棄は、そのまま埋めてしまいます」

― それぞれの問題点は?

「(記事中から探し出して読み上げる)再処理では、ガラスで固められた廃棄物の固化体を、(日本では作れないので)フランスなど海外に頼んで送り返してもらわなければなりません。それに処分場を提供してくれる自治体もありません。また、再処理自体うまくいっておらず、国内の再処理施設は試運転でトラブルが相次いでいます」

「(記事中から探し出して読み上げる)直接処理は、燃え残ったウランやプルトニウムは、埋めても数万年にわたって放射線を出し続けます。ガラス固化体の受け入れ場所も決まっていないのに、直接廃棄を受け入れる地域があるかどうかも問題です」

― これまで日本国政府は、再処理してウランやプルトニウムを取り出して再利用する処分方法を進めてきたけど、最近は直接廃棄に傾いる。それは、なぜだろう?これも文中に書いてあるから見つけ出して。

「使用済み核燃料がどんどん増えるから・・・・・?」
「高レベル放射性廃棄物がゴミとして残るから・・・・?」
「うーん・・・、オレも、そこかと思ったけど、なんか、違うんだよなあ・・・」

<全員なかなか答えが見つからない>

― 難しく考えない方がいいよ。答えは、もっと単純だ。再処理、再利用をやめる。直接捨ててしまう。それは、なぜだろう?(記事に)書いてあるよ。

Dくん 「えーっと、それは、再利用の必要性がなくなったからです」

― そう! そうなんだよ。よく見つけたね。もっと読んでいって。

「国は新しいエネルギー政策を決めるため、30年の電力に占める原発割合について、0%、15%、20~25%の3つの選択肢を示していますが、どの場合も再利用の必要性は薄れます」

― そうだね。でも、どうして原発を減らそうと考えたのかな。

「うーん・・・。危ないから?」

― そう思わせる事があったじゃないか。

「津波・・・・?」

― そう。津波による福島原発の事故だね。

(ここで、すかさずBくんが)「でも、前チェルノブイリで事故がありましたよ。どうして、そのとき思わなかったんですか」

― そのとおりなんだけど、あれはソ連、今のウクライナの出来事で、日本の原発は、遥かに優秀に造られている・・・ということになっていたんだよ。先生もそう信じていた。

では、ここで今日の本題だ。キミたちがもし日本国の首相なら、どうする?

Dくん 「ぼくなら、(廃棄物を)砂漠に埋めます。砂漠なら人も動物も植物もほとんどないから、大丈夫です」

― でも、日本に砂漠はないよ。アフリカや中国がだめと言ったら、捨てられないよ。

「捨てさせてくれたら、お金を払います」

― お金で解決するやり方か。でも、かなりお金がかかると思うよ。誰だって、自分の国に捨てさせるのは、いやだもの。

Aさん 「私は海底に捨てます」

― 海底?なんか危なそうだよ。潮の流れもあるし、魚もいるし・・・。

Bくん 「じゃあ、寒い国の氷の下」

― シベリアとか? 永久凍土ってあるし、確かに、ずっと表に出てこないかもしれないけど・・・。

Cさん 「私は宇宙に捨てます。誰も住んでいない星に行って埋めてしまいます。

(すかさずBくんから)「宇宙船飛ばすのに、どれほどお金がかかるのか知ってるのかよ。僕は、もっと根本的に廃棄物を消滅させてしまう、そんな方法を考えます」

― 廃棄物を消滅させる?放射線を出さなくするとか?確かに、それは問題の根本を解決する方法だ。

(Cさん反論)「でも、その方法が見つからなかったら?」

Bくん 「それでも、やるしかないでしょ」

先週は、みんな原発事故の危険性だけ考えていたけど、今週はそれに加えて新たな問題を考慮する必要が出てきた。では、改めて尋ねます。原発は必要ですか?止めますか?君たちが日本国の内閣総理大臣なら、どんな決断をしますか?

Cさん 「私は、やっぱり止めます。これ以上、廃棄物を増やすべきではありません」

Bくん 「でも、そうなったら、先週みたいなこと(タイ南部大停電)が頻繁に起こるぞ」

― そうだね。停電するし、電気代も上がる。場合によっては倍以上になるかもしれない(注、タイには、原発はありません)。

Cさん 「それでも、止めます」

Dくん 「僕は先週の意見と同じで、半分だけ動かします」

Aさん 「私も半分。半分動かしながら、その後の方法を考えます」

Cさん 「じゃあ、止めたり、半分動かしたりすればいい。そすれば、新しい廃棄物の量はもっと減っていくし」

Aさん 「そう。そうやって、時間を稼ぐ」

― 時間を稼いで、どうするの?

Aさん 「時間を稼いで、もっといい方法、例えばBくんの案などが実現できないか研究します」

― 妙案かもしれない。ところで、記事の最後に大学の先生の意見が載っているだろ。(原発の危険性、即時停止を訴えている)これは、どうして。

「そういう意見だから」

― 誰の?

「記者」

― そう。この記事を書いた人は同じ考えを持っていて、それを強調したいために大学の先生の意見を利用しているね。自分の意見として出すより、偉い先生の話の方が説得力があると考えている。ちなみに、この朝日小学生新聞を発行している朝日新聞社は、どちらかというと、昔から原発には反対の意見だったんだ。(生徒から、意外そうな声)読売新聞って知ってる?読売は、賛成の側。

Bくん 「じゃあ、新聞売るので競争してるだけじゃなくて、意見も争っていたんですか?」

― まあ、そういうことだね。みんなも、書いてあることを、そのまま鵜呑みにしないで、どんな記事でも、自分はどう思うのか、自分の意見をまとめられるようにしておくといいよ。じゃあ、今日の授業はここまで。

 
第一回
シャープ経営危機

キミなら、どうする?

朝日小学生新聞2012年9月15日号の1面記事を読んでの授業から。

日時 2013年3月29日
クラス 応用2

講師 西岡
昨年度の最終授業でしたので、新聞記事を教材に新しい試みで授業を行いました。
<授業の目当て>
文を読み、中心語句と要旨を掴み、日本語での質問を、日本語で考え、日本語で自分の意見を(口頭)で発表する練習。
将来的な目標は日本語の新聞を読み解く力をつけ、読んだ記事について自分の考えをまとめ、発表できるようにする。

2人(中学2年男女)の生徒が交代で記事全文を音読した後、質問に移る。

 
 
(注 写真と授業は関係ありません)

質問1.この記事の中心語句は?

「シャープ(両者同じ意見)」

質問2.要旨は何か?

「シャープの経営不振(Aさん)」
「シャープが台湾の企業と協力関係を結んだ(Bくん)」

質問3.シャープって、どんな会社?(記事の中から見つけ出す)

「2年前に国内のテレビ販売台数トップ」
「100年前1912年にできた会社」
「シャープペンを発明した会社」
「国産第一号のラジオ発売」
「世界初の液晶画面つき小型電卓開発」
(両者だいたい同じ)

質問4.シャープペンを発明したシャープは今はシャープペンを作っていない。どうして?

「競争に負けたから」

そうだろうか?他には?

「競争が激しくなったから」

競争が激しくなると、どうなる?

「売れなくなる」

本当にそうかな?シャープは、今、何を作っている?

「テレビや電子機器」

どうして?

「儲かるから」
「シャープペンなら、それほど作るのが難しくないから簡単に真似をされてしまうけど、電子機器は違います。専門的な知識を持った人を雇わないと作れません」

そうだね。シャープペンを作らなくなった理由はいるいろあると思うけど、先生はこう思う。競争が激しくなると、シャープペンが安くなる。売れてもあまり儲からなくなる。だから、もっと儲かるものを作ろう思ったんじゃないかって。先生の子供のころ、1970年代はシャープペンは500円くらいしていたんだ(生徒から驚きの声)。今はいくら?100円?社員の給料も、電気代も、材料代も、みんな昔の方が安かったけどシャープペンは高かった。でも売れたし、みんなが買いたがった。先生も欲しかったから、買ってもらった。

質問5.どうしてシャープの経営が苦しくなったんだろう?(記事の中から見つけ出す)

「テレビが売れなくなった」
「競争が激しくなった」
「中国や韓国は人件費が安いから競争に負けた(ここから話が脱線し、尖閣や竹島問題、中国韓国批判の声が生徒から上がるが話を戻す)」

Bくん「同じ製品を売る会社が増えて、買ってもらえる確率が少なくなったから(Aさんから反論の声)」

経営危機は、「確率」が原因なんだろうか?

Aさん「まったく同じ商品なら、そうかもしれないけど、そうじゃない。やっぱり、品質や値段の問題だと思います。

ちょっと話をシャープペンに戻そう。シャープペンを発明したのに、シャープがシャープペンを作らなくなったのは、競争が激しくなって、儲からなくなったからじゃないかという話だった。同じことが今、液晶テレビで起きているようだね。

質問6.シャープは、どうやって経営を立て直そうとしている?(記事の中から見つけ出す)

「台湾の企業と協力関係を結んで、立ち直ろうとしている(両者同じ)」

質問7.じゃあ、キミたちがもしシャープの経営者だったら、どうする? Bくんが取締役なら、どうやってシャープを再建する?

「僕なら、台湾ではなくて、日本の・・・そうパナソニックやソニーなんかと協力します」

日本のパナソニックやソニー? でも、記事をよく読んでごらん。パナソニックやソニーのことも書いてあるよ。

(記事には、両社ともテレビが売れず大きな赤字を出したと書いてある)
どうもシャープを助けるどころじゃなさそうだよ。

「うーん・・・・。だったら・・・・パナソニック、ソニー、シャープの連合を作ってお互いの長所、例えば、シャープの技術力、ソニーが見栄え、パナソニックが販売力、といったものがあれば、それぞれが持っている特長を出し合って組み合わせ、画期的な商品を作ります」

なるほど。日本の企業連合を作って外国企業に対抗するわけか。でも、テレビを作るのかい?

「いえ、もっと画期的な製品を考え出します。またトヨタなど、電気製品以外の会社にも協力してもらって、例えばカーナビなど、いいものを作ったら、それを使ってもらいます」

ほーう。じゃあ、Aさんは?

「私なら、ホンダと同じことをやります」

ホンダと同じこと?

「ホンダも何年か前、経営が苦しくなったときに、社内の最後の力を振り絞って最高の商品を送り出して、考えられる最高のやり方で製造し販売したんです。残った力を全部そこに注ぎ込んだんです。そうやって経営を立て直したと聞きました。私がシャープの経営者なら、そうします」

テレビを作って売るのかい?

「そうです。ホンダが車で勝負したように、シャープはテレビで勝負します」

なるほど。日本の企業連合を作って、お互いに助け合いながら画期的な商品を作ろうというのがBくん。昔、シャープペンの製造を止めてテレビや電子機器で勝負したのと同じやり方を、もう一度やろうということだね。それに対して、Aさんは、他の会社の力を借りずに、シャープの持つすべての力を振り絞って、テレビの製造販売で最後の勝負をしようということか。

でも、実はこの記事に出てくる台湾企業との協力はうまくいかなかったんだ。それで別の会社を探したんだけど、どこだと思う?

「中国?」
「タイ?」

違う。実は・・・・サムスンなんだ。

「えー!(生徒から驚きの声)」

シャープとサムスンはライバルだけど、数年前は、シャープの方が圧倒的に強かった。今は逆転されてしまったけど、そのライバルに助けを求めたわけだ。これは、どういうことだと思う。

「シャープで働いている人たちは悔しいと思います(両者同じ)」

でも、助けを求めたわけだ。それは、どういうことかな?

「ものすごく経営が苦しい?」

そうだと思う。テレビでニュースを見ていると、そんな話が出てくると思うから、みんなも、関心を持ちながら見ると面白いと思うよ。じゃあ、今日の授業はここまで。


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